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"Electropicalismo(2013)" MCビル風解説(2800字)

hikaru yamada and the librariansのライブ盤 "Electropicalismo" に封入されていたライナーノーツ、MCビル風による解説(2800字)を再掲します。 hikaru yamada and the librarians “ElecTropicalismo - Live at Mona-Records”解説 この度あなたのミュージック・ライブラリに加わることになったのは、hikaru yamada and the librariansのライブ盤“ElecTropicalismo -Live at the Mona-Records”です。 『あなたの心の中のライブラリを開放する!もしくはあなたのライブラリの中の心を開放する!』というパンチラインでもお馴染みのhikaru yamada and the librariansですが、あなたのライブラリはどこにありますか。 PCのハードディスクの中ですか。CD、レコードラックの中ですか。もちろん音楽に限りません。本棚。デスクの周り。自分の部屋。それとも、何年も書き続けている日記でしょうか。あるいは、心の中ですか。 蓄積された作品は、資料は、記録は、記憶は、タグをつけ、一定の法則に従って、陳列、保管されなければならない。でないと、後で必要な時にすぐに参照できないし、いずれ時の流れと共に霧散し、全てが無かった事になってしまうでしょう。 hikaru yamada and the librariansの中心人物であり、サックス奏者、ギター奏者、コンポーザー、プロデューサーである山田光のTwitterのアカウント(@yakamotilabely)のプロフィール欄には、「歴史家・アルトサックス奏者」との記載があるが(2013年12月現在)、この「歴史家」というのが山田光と彼の作る音楽についてひも解く上での、一つのキーワードである。「人柄だけじゃミュージックじゃなくて/ 人柄だけじゃミュージックって思わない」とs.l.a.c.k.もラップしているが、ポップミュージックを語る上では、音楽そのものだけでもそれはミュージックではない。山田光とはどのような男なのか。 山田光はアーカイバーである。自他問わず、様々なライブの場においてレコーダーを回し、その時...

"genre music →genre music" 過去レビュー掲載誌③ ラティーナ2014年9月号

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ラティーナ2014年9月号 p.92 hikaru yamada and the librarians "genre music →genre music" 88年生まれのフリー系サックス奏者が、あらゆるジャンルの音楽のサンプリング/カットアップによって築いた音に女性ボーカルを加えてマッドかつ洒脱に展開する“避暑ポップ”ユニット初のアルバム。 菊地成孔とコーネリアスの資質を併せ持つと例えると少し大げさかもだが、シューゲイザーやシカゴ音響派から、ブラジル北東部のマラカトゥ・ナサォンのリズムやタンザニアのリンガラ風ギター、キューバのバタ・ドラム、様々なジャズ音源の断片などが饒舌に切り刻まれて浮遊感に溢れたベッドルーム・ポップに仕立てられた音は、先鋭的な南米音楽を好む本誌読者の琴線に触れる点も多いはず。 マカオのEvadeやインドネシアのサンタモニカあたりの“東南アジアの渋谷系”などといった安直な形容に収まらない過剰なまでにハイブリッドな音楽性を示すギターポップ勢に通じる魅力も感じさせる、東京発のドリーミー・ポップの秀作。 (吉本秀純)

"genre music →genre music" 過去レビュー掲載誌②MARQUEE Vol.103

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MARQUEE Vol.103 p.106 hikaru yamada and the librarians "genre music →genre music" インプロ・フリージャズのアルトサックス奏者でもありトラックメーカーの山田光と女性シンガー・穴迫楓を中心とした独自のサンプリング・ミュージック。電子音、生楽器、生歌、自然音等を複雑に重ね、耳に様々な音が溢れるわけだが、音の出し入れの平衡状態がどこを取ってもたまらなくセンスが良い。 ねじれのある音響と郷愁感漂うメロディが合わさり優雅な展開を魅せる瞬間は至高のポピュラーミュージックと化す。 (ムラタノブ)

"genre music →genre music" 過去レビュー掲載誌① CDジャーナル2014年7月号

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CDジャーナル2014年7月号 p.28 特集"あたらしいジャズ×日本のおんがく" hikaru yamada and the librarians "genre music →genre music" ジャズメンがジャズから離れてポップスをやってるインディ・シーンの注目株。極上のサンプリング・ポップの音は軽やか、でもその背景にはジャズメンらしい生真面目な香りも。(柳楽光隆)