2014年12月2日火曜日

2010年11月28日の日記

2010年11月28日 エレクトロメハニカ

エレクトロミュージックに関するペテルブルグでは唯一のフェスティバルであろうこのエレクトロメハニカに、私はオーストリアのフェネスとアルヴァノトを目当てに観に行った。外は大雪。コートの下にお洒落に着込んだ若者たちが集まってきている。薬物やアルコールを持ち込みをチェックするバウンサーの迫力。当然のように効率の悪いドリンクカウンターはすでに長い列を作っていた。1番手のフェネスを観るため大ホールへ。この2000人収容のホールが昔映画館だったというのはせいぜい300人収容程度の日本からするとちょっと考えられないくらい広い。そしてエレクトロミュージシャンはVJやカメラを伴っているのでそのスクリーン機能はこの晩存分に使われることとなった。


フェネスことChristian Fenneszはラップトップから流れるアンビエントなシーケンスの上で柔らか、かつ轟音なギターを重ねるというものでCDで聴ける緻密さとはまた違う、ポストロック的感触を持ったステージであった。フェンダーのジャズマスター(注)を美しい轟音を出す様はマイブラッティバレンタインを思い起こさせた。終演後ステージ下からのサイン攻勢にも笑顔で答える。


 大ホール2番手はオランダから来たXavier Van Wersch。薬品を入れたフラスコとその攪拌機?のようなものやオシロスコープなどをステージの机に並べ、そこからテクノ的な音響を取り出していく演奏。音とビジュアルが直接つながっているのかは不明なところもあったが、白衣を着て科学実験をするような仕草で音を出していくところを観るのはとても面白かった。最後はフラスコの中の緑の液体を飲んで客席は大盛り上がり。


 ここで2階のサブステージに移動。ここではロシア産のナードコアテクノ達のライブが繰り広げられている。客はまばらだがメインステージよりも濃い空間だ。小太りの男が踊り狂いながらチープなビートを出しているScaly Whaleが印象に残った。
 大ホールに再び戻るとアルヴァノトことカールステンニコライのステージが始まっていた。客席ではなく前方のスタンディングスペースで観ることにする。爆音。サイン波のみで構成されたベース・リズムは雑味が無い分どこまでも音量を上げられる感じ。これは家でイヤホンで聞くのと全く違う体験である。そしてラップトップの音に合わせて首を振るアクションの由来が彼であることを確認(ラップトップミュージシャンがよくやる動作)サイン波による中域のアルペジオはビブラフォンの音にも似ていて気持ちが良かった。
 最後はこれもドイツから来たincite。Kera Nagel と André Aspelmeierの夫婦ラップトップデュオは音と同期したステージいっぱいのスクリーンに投影した映像に合わせて踊りまくる。白を基調にした映像・アニメは楽しく、最後は擬人化したブロックが手をつなぐ映像に合わせて二人も客席に頭を下げ、キス。大盛り上がり。


 深夜3時近く、フェスはまだ明け方まで続くが疲れもあり寮に戻ることにする。大雪の中、まだ道路には白タクも走っていることだし、死にそうになったら乗ろうと思いながら1時間ほど歩いて寮に戻った…

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